11分間
ちょっと、愛について考えたくなって、大学時代から比べて、数年ぶりに読んだ本。
よく引用される箇所は下記の通りです。
<一晩? マリーア、一晩というのはまたずいぶん大げさじゃないの? 実際には四十五分、そこからさらに、服を脱いだり、親しげなそぶりをみせたり、他愛もないことを話したり、また服を着たりする時間を差し引けば、セックスそのものはたった十一分ぐらいになるんじゃないの>
十一分。世界は、わずか十一分しかかからない出来事を中心として、そのまわりをぐるぐる回っているのだ。
この部分はインパクトがあります。このストーリーについてもAmazonのレビューを見れば、言いつくされているので、もうちょっと別の部分にフォーカスしてみようと思います。
先ほどの文章の続きはこうなっています。
そして、二十四時間ある一日のうちのそのわずか十一分間のために、男たちは結婚し、家族を養い、子供たちの泣き声を我慢し、家に帰るのが遅くなったときの言い訳に腐心し、湖のまわりを一緒に散歩したいと思う女たちを日々何十人、何百人と目にして、万が一のチャンスのために自分に高い服を買い、その埋め合わせで妻たちにはなおさら高い服を買ってやり、欠けているものを補うために娼婦に金を払い、そうして化粧品やダイエット法、エクササイズ、ポルノグラフィ、そして権力をめぐる巨大産業を維持しているというわけなのだ。
こういった、主人公の分析に「なるほど」と思わせるところが多々あります。世の中の切り方として見る事も面白いと思う。特に男性から見れば、女性のシビアな視点や、気持ちの違いを読み取ることができます。
しかし、やはりこの小説を通して、愛について考える機会になると思う。相手を所有している気持ちになるからこそ、相手を失って悲しいと思うのです。したがって、愛を知っていることは、自分を捧げて、相手を自由にし、相手の気持ちを抱きしめることなのかなと思います。逆に、そうしなければ、孤独・不安という痛みから一生逃げられないかもしれない。
本当の自由の経験とはこういうことだ。 この世で一番大事なものを、所有することなく、抱きとめること。
また、この本は、もっと人生の痛みを感じた時に読みたい。
- 作者: パウロ・コエーリョ,旦敬介
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/01/25
- メディア: 文庫
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