プレゼンテーションZENデザイン

プレゼンテーションzenデザイン

プレゼンテーションzenデザイン

プロのデザイナーとしての訓練を受けていないあらゆるプロフェッショナルを対象とした書籍。本書を通じて、グラフィックデザインの基本的な概念を理解し、優れたビジュアルを作り、結果としてプレゼンテーションにおいて、メッセージがより明確に伝わるようになる。前作と比較して、デザイン寄りのアプローチに特化しているのが特徴的。

筆者は伝統的な美から下記のデザイン原則を提示している

  1. 簡素:不要なものを排除することによって得られる明快さ
  2. 不均整:ダイナミックな美
  3. 渋み:抑制がもたらす美
  4. 自然:??
  5. 幽玄:はっきりと示さずそれとなく示唆する。見せる部分を減らすことによって表現力を増やす。
  6. 脱俗:「脱俗」を目の辺りにすることで、因襲や慣例から抜け出すことが可能だと驚く。
  7. 静寂:静かでひっそりしていること、活力を秘めた静けさ
  8. 和:バランス
  9. 間:空白、空間的な・時間的な感覚。背景としての余白ではなく、間自体がデザインを構成することもある。
  10. 余白の美:直接表現されず、暗に示された部分に美を見出すこと

テクニック的なことは隅々まで読んで体得すると良いが、P229〜230ページに全て集約されているように思う。他のページでは、タイポやカラーリング、写真といったことまで触れており、日本の伝統的な和傘や墨絵、庭園などから、様々なデザインの原則を見出している。

個人として心に残った点は下記の3点

  • 前作でも紹介されていたが、ノイズを少なくすること。(=SNRを高くすること)
  • スライドと文章を混同しないこと。詳細なデータは添付資料で配布すること。
  • 最も使いやすいグリッドのひとつに3分割法を使用すること(筆者は5×4のグリッドも推奨)

またシンプルなスライドを作成するにあたり、常に自問自答すべき問いは下記の2点をメモっておく。

  • そのスライドを削除することは可能だろうか?
  • そのスライドが不可欠な場合、どのデザイン要素を外せばより効果的なスライドになるだろうか?

なお、ビジネスインテリジェンスの分野での第一人者であるスティーヴン・フューの設立した会社のWEBサイトで、グラフデザインのIQテストを受けることが出来るのでお試しあれ。原理原則を学ぶことも大切ですが、何が良いチャートで、悪いチャートか、違いを見極めることも大切だと思う。
http://www.perceptualedge.com/