グローバル・マインド 超一流の思考原理―日本人はなぜ正解のない問題に弱いのか

グローバル・マインド 超一流の思考原理―日本人はなぜ正解のない問題に弱いのか

グローバル・マインド 超一流の思考原理―日本人はなぜ正解のない問題に弱いのか

■骨太
(P002)日本人は、「ひ弱さ」を「骨太」に変えていかなくてはならない。そのための最低条件として、「自分の人生のかじ取りは自分でする」という能動的なエネルギー、「リスクを厭わず、自分の限界に挑戦する」闘争心、自分の「個別解を発見する」冒険心が必要である。
(p003) (マンハッタンと東京で勤務するビジネスマンの間に、エネルギーの差がある違いの理由は)私なりにずっと考えた末に出した結論は、「自分の仕事、キャリアが自分で能動的に選んだ結果のものかどうか」がカギではないかと考えるようになった。(中略)すなわち、ニューヨーカーのエネルギーは「自分が好き好んで、この街と職を選択したので、時間を無駄にはできない」覚悟からきているのだ。
(P005)日本人と欧米人の優秀な人たちと議論していて感じることは、日本人は各論に強いことである。「正解」らしきものが存在していそうなテーマが与えられると、現実的に一つずつの各論の課題をこなし、「正解」を見つけ出す。こういう能力は抜群だ。また明らかな「正解」が無い場合には、自分と違う意見の「揚げ足取り」をする傾向gあある。重箱の隅をつつくような議論で、自分だけが知っているこまかい裏話の知識をひけらかしたり、鬼の首をとったように物事の例外を見つけたりするのも得意だ。(中略)トンカチにとって全ての問題は釘に見える。これは、あらゆる事象を自分が慣れた方法で解決できるように、問題の定義の方を先に誘導してしまう、本末転倒したプロセスのことである。

■就職
(P013)プロの仕事という考え方は、会社に滅私奉公するサラリーマンではなく、特殊なスキルによって若くても大きな責任を持たせてくれる職業をイメージしていた。
(P020)一般的には日本人は転職の経験が少ないので、自社の内容は熟知しているが、他社のことになるとイメージをベースにした意見が多い。就職活動中に競合する会社に話を聞いてみると、外から見ると同じようなことをしているように見えるのに、当事者達は自分の会社がいかに他社と違うかを説いてくる。「組織で働く ○○会社」「個人主義のXX会社」といったレッテルを、社員達は本気で信じていたようだが、自社しかしらない社員ほどの違いは無いのではと感じていた。自身に多様な経験が無いと、自分が特別であるとの錯覚を持つ場合がある。(中略)人間はずーっと同じ環境に長くいると、内向きの見方をベースにした思いこみが過剰に醸成され、外から見た時の視点に気づかなくなる。
(P021)また成功している人は自分のtった選択が最良であるとの思いこみを持ち、それをベースにアドバイスしてくることも感じた。当時、日本機魚うから派遣されてMBAを取得された方に共通のコメントに「わざわざ今マッキンゼーに入社しなくても、日本企業に就職して海外留学してからでも入れる。外資系はいつでも入れる。日本企業は今はいらないと、二度と入らない」というのが多かった。これはしかし良く考えてみると、彼らに私がその時置かれていた立場の経験が無く、単に自分の過去の決断の正当化を目的としているような匂いを感じた。また当時の私は、いずれやめる前提で最初の仕事を決めるのは傲慢な感じがした。
(P022)一介の学生にすぎなかった私に時間を割いてくださった雲の上の人に感謝すると同時に、真剣に生きていると困った時には、助言者が表れるものだとつくづく感じ、自分が将来逆の立場になった時にも、後輩たちへの助言の労を惜しまないと決心した。

■正解への呪縛が根強い
(P218)たとえば、日本人は成功した人でも、「人生の師」を持っている人は多い。彼らの話を聞いてみると、この「師」はある問題に対する単なる助言者ではなく、人生全てにおいて自分にとっての「答え」を持つ先生との位置づけで、その「答え」を得るために、その人の教えを請おうとする。そこには、自分が主人公のユニークな自身の人生全般にさえも、「正解」を持っている他人がいることを肯定する考え方がある。先述のレストランガイドの例でも、ミシュランに載るべき店がはずされていたり、載るべきでない店に星が付けられていたりすると、鬼の首を取ったように「やっぱりフランス人には、日本食の深さがわからない」といった評論家がテレビをにぎわす。これもミシュランという格調高い、格付け機関は「正解」を持っているはずだとの、非現実的な前提がある。「フランス人」から見たら、日本はこんなレストランの評価が高いんだ」と外国人から違った意見を楽しむ余裕を持てないものか。日本人のミシュラン上陸の対応は、あたかもミシュランを「先生」のように仕立て上げ、国民全体で「答え合わせ」をやっているみたいだ。ミシュランは一つの「意見」であって「答え」ではないのだ。

■メールは五感の発達を妨げる
(P246)メールは送受信できるので、双方向と思いがちだが、本当の意味でのインタラクティブではなく、瞬間的には常に一方通行のコミュニケーションである。ところが、実際に人と会って話していると、相手の出方や表情によってこちらのトーンも瞬間的に微調整するし、準備d計無いまま直感的に反応していることも多い。すなわち、生身の人間のぶつかり合いでは、動物としての五感を本能的に使っているのである。(中略)
(P250)ケータイに頼らず、五感を研ぎ澄ませて熱く語ろう。「熱さ」は人に伝播し、大きな力を生む。人生は山あり、谷ありだ。多様な経験を通じて強靭な免疫力をつけよう。リスクを恐れず新しいことにチャレンジしよう。